農業

特定技能による『農業』分野の派遣・要件について

本文は、特定技能における「農業」分野について、できるだけ分かりやすく解読したものとなります。

特定技能の業種「農業」は、技能実習や国家戦略特区などの制度でも受け入れることが出来る分野です。いちはやく外国人材の受け入れに取り組んできた分野の1つです。
今回の特定技能で特筆すべきは、農業で派遣が認められたことです。

※特定技能では、農業と漁業のみ派遣が認められています。
※国家戦略特区事業は、令和元年6月11日に開催された国家戦略特区諮問会議にて特定技能制度へ段階的に移行することが決定されました。
2020年3月31日をもって、特区事業による外国人材の新規受け入れは停止(ただし、特区事業による在留は通算3年となるまで可能。)。

近所の農家さんでも技能実習生を受け入れているところがあります。
農業は、家族経営でやっている所があるから、結構近所の人達と触れ合う機会があるんだ。

国籍別ではベトナム、中国、フィリピンが多く、ベトナムに至っては全体の4割近くを占めています。

資料:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」から特別集計(各年10月末日現在)
この資料を見ると直近5年で農業分野の外国人労働者数の受入れ率が跳ね上がっています。

それでは、公表されている資料をもとに、農業分野の要件や役割を見ていきましょう。

特定産業「農業分野」とは

日本人の雇用を確保することが極めて厳しい状況であるため、外国人により人材不足を確保するための分野のこと。

近年の農業は、IT化が進んでいるけど、人の手作業、目視確認作業(選別)など、人でしか対応できない工程があるから、どうしても人材が必要なんだ。
よく聞く「スマート農業」も地方の農村地域にも導入されてるみたいだね。

農林水産省が掲げる「農は国の基」のもと、農業振興が国の基本的施策として生産性向上に取り組んでいます。

①農地中間管理機構等を通じた農業の担い手への農地の集積・集約化
②ロボット技術、ICT等の先端技術の活用によるスマート農業の実現等を推進し、省力化による生産性の向上など

上記の取り組みから担い手の利用面積のシェアも増加して、データを使った経営改善、生産性の向上など、農業データの連携基盤を構築しました。

【農業における国内人材確保のための取組】

①新規就農者に対する資金の交付や無利子融資による支援
②女性の活躍支援や農福連携の推進等により、若者・女性・高齢者等の多様な国内人材の確保にも努めているところであり、49歳以下の新規就農者が4年連続で2万人を超えるなどの成果を挙げている。

雇用労働力もここ10年ほどで1.7倍増加しています。農村地域は、若者の都市部への就労、高齢化を背景として人口減少が加速しています。

農業分野における有効求人倍率はおよそ2倍ほどであり、雇用就農者数は現時点で約7万人以上不足している。
この事態を受けて、特定技能の農業分野で受け入れる外国人材は、向こう5年間で最大3万6,500人の受入れを想定しています。

農業技能測定試験とは

最新の農業技能試験スケジュール日程は、下記のリンクから確認ください。

https://asat-nca.jp

求められる人材の基準

農業分野において特定技能1号の在留資格で受け入れる外国人は、以下に定める試験に合格した者又は農業分野の第2号技能実習を修了した者とする。

農業分野の特定技能1号は、技能実習2号からの移行が大半と想定されています。

農業分野で特定技能1号の在留資格を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

【農業の特定技能外国人が求められる試験区分】

技能水準(試験区分)では、

ア「耕種農業全般」
イ「畜産農業全般」

・日本語能力レベルでは、「日本語能力判定テスト」又は「日本語能力試験(N4以上)」が定められています。

特定技能1号の農業技能測定試験(耕種・畜産農業全般)は、基本的に技能実習の試験と同様です。

特定技能1号の農業業務

実際に就労先で従事する業務内容です。

【特定技能1号が従事する業務】

上記3(1)に定める試験区分に対応し、それぞれ以下のとおりとする。)

ア 試験区分3(1)ア関係
耕種農業全般(栽培管理、農産物の集出荷・選別等)
イ 試験区分3(1)イ関係
畜産農業全般(飼養管理、畜産物の集出荷・選別等)

特定技能1号が従事する業務も基本的には、技能実習と同様です。

特定技能所属機関(受入れ事業者)に対して課す条件

特定技能所属機関は、農林水産省、関係業界団体、登録支援機関その他の関係者で構成される「農業特定技能協議会(仮称)」の構成員になることが義務付けられています。また、必要な協力を行うこと。

ア 直接雇用形態の場合、特定技能所属機関となる事業者は、労働者を一定期間以上雇用した経験があること。
イ 労働者派遣形態の場合、次の要件を満たすこと。
(ア)特定技能所属機関となる労働者派遣事業者は、農業現場の実情を把握しており特定技能外国人の受入れを適正かつ確実に遂行するために必要な能力を有していること。
(イ)外国人材の派遣先となる事業者は、労働者を一定期間以上雇用した経験がある者又は派遣先責任者講習等を受講した者を派遣先責任者とする者であること。
ウ 特定技能所属機関は、「農業特定技能協議会(仮称)」(以下「協議会」という。)
の構成員になること。
エ 特定技能所属機関及び派遣先事業者は、協議会に対し必要な協力を行うこと。
オ 特定技能所属機関は、登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託するに当たっては、協議会に対し必要な協力を行う登録支援機関に委託すること。

雇用形態 ※派遣OK

直接雇用、労働者派遣が認められています。

農業では、雇用先(特定技能所属機関)からの派遣が認められているんだね。
農業分野は年間を通して繁忙期、閑散期があるから、労働者に安定的に仕事を与えるためにも派遣は認められているんだ。

労働者派遣形態により受け入れる必要性は、下記の2点です。

1.冬場は天候などにより農作業ができない場合、季節による作業の繁閑が生じる場合

2.同地域・地区内であっても、作目によっては収穫時期や定植等の農作業の繁忙期、ピーク時が異なるといった特性があり、農繁期で労働力の確保や複数の産地間での労働力の融通といった農業現場のニーズに対応するため。

技能実習制度でも度々、農業の閑散期に実習生の仕事がなく給与が出ない状態が問題視されてました。しかし、特定技能で派遣が認められたので、この問題が解決する事を願っています。

農業で特定技能外国人を採用するメリット

農業分野での特定技能外国人は、日本で3年間の技能実習を良好に修了した元技能実習生が多数を占めます。
また、3年間の農業実習で培われた成果を発揮し即戦力として現場で働くことが出来ます。

特定技能の農業では、繁忙期のみのスポット派遣採用が可能となっており、今までは繁忙期に人材不足で悩まされ閑散期には人件費が掛かる課題が解決されるため、農家さんにとっては、通年を通して安定した食品供給ができ播種計画を立てる事ができるようになります。

農繁期は地域エリアの繋がりを産地間リレーとして、農作業経験のある特定技能人材を産地間で派遣する事ですぐに農作業に取り組むことができ、農繁期の人手不足を解消することができます。

農業分野の技能実習と特定技能を比較した場合、一番の違いは、『派遣』ができるかどうか?です。
また、繁忙期・閑散期に必要な人材を必要な期間だけ派遣雇用できるのは、特定技能だけです!

また、今後の事業展開を拡大するためにも経営的視点に立った農業を行うことができるようになります。

動画で特定技能農業をカンタン解説!

【第1章】
「6分でわかる!特定技能制度」

・特定機能制度が創設された背景
・特定技能制度とは?
・特定技能制度と外国人技能実習制度の違い
・第2章の紹介

【第2章】
「外国人受け入れの具体的な手順や労務管理」

・特定技能外国人を受け入れる流れは?
・受け入れ準備をしよう
・特定技能外国人との雇用契約の締結
・地方出入国在留管理局への入国手続き
・第3章の紹介

【第3章】
「外国人受け入れ農家の声」

・畜産農業での雇用インタビュー
長野県にある有限会社信州つつじヶ丘牧場/高嶋昇さん

・耕種農業での雇用インタビュー
沖縄県にある、株式会社しらみずファーム/諸見里貴也さん
第4章の紹介

【第4章】
「試験の情報や相談窓口、外国人雇用の留意点」

・農業技能測定試験
・外国人を雇用する場合の注意点
・外国人の相談窓口
・相談員からメッセージ

農業分野における特定技能による受入れの概要 【まとめ】

受入れ見込み数
(5年間の最大値)
・36,500人
人材の基準 [技能試験]※技能実習2号修了者は免除農業技能測定試験
①耕種農業全般
②畜産農業全般
・実施主体は(一社)全国農業会議所
・2019年秋から実施。2021年度も随時実施
・実施国・開催時期等については(一社)全国農業会議所のHPにて公表。
http://asat-nca.jp/
[日本語能力試験]※技能実習2号修了者は免除
①日本語能力試験(N4以上)、②国際交流基金日本語基礎テスト
・実施主体は① (公財)日本語国際教育支援協会・(独)国際交流基金 、②(独)国際交流基金
・実施国・開催時期等についてはそれぞれのHPにて公表。
(日本語能力試験)
(日本語基礎テスト)
受入れの停止・再開 農林水産大臣は、
・人手不足状況の変化に応じて運用方針の見直しの検討等を行う
・受入れ見込み数を超えそうな場合は、法務大臣に受入れ停止を求める
・受入れ停止後、再び必要性が生じた場合は、法務大臣に受入れ再開を求める
業務 ①耕種農業全般(栽培管理、集出荷・選別等   ※栽培管理の業務が含まれている必要)
②畜産農業全般(飼養管理、集出荷・選別等   ※飼養管理の業務が含まれている必要)
日本人が通常従事している関連業務(農畜産物の製造・加工、運搬、販売の作業、冬場の除雪作業等)に付随的に従事することも可能
受入れ機関等の条件 ①「農業特定技能協議会」に参加し、必要な協力を行うこと
②過去5年以内に同一の労働者(技能実習生を含む)を少なくとも6か月以上継続して雇用した経験があること   等
雇用形態 ①直接雇用
②労働者派遣(派遣事業者は、農協、農協出資法人、特区事業を実施している事業者等を想定)
農業分野は、外国人材なしでは、経営が成り立たない農家さんが結構あります。今回の特定技能では技能実習2号の移行が期待されています。

特定技能2号の対象分野の追加

熟練した技能を要する特定技能2号については、建設分野及び造船・舶用工業分野の溶接区分のみが対象となっていましたが、今後の人材不足分野である「ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業」の9分野と、造船・舶用工業分野のうち溶接区分以外の業務区分全てを新たに特定技能2号の対象とすることとしました。

特に農業分野は、外国人材の受入れなしでは立ち行かなくなってます。農業経営者の後継者問題も相まって、日本の食文化を支える根幹でもある農業を未来永劫に残すためには、外国人材の活用は必要不可欠な状態です。