介護

特定技能による『介護分野』の要件・条件・1人夜勤について

特定技能における「介護職」について、できるだけ分かりやすく解読したものとなります。

現在日本で介護職の外国人を受け入れできる在留資格は3種類(EPA、留学生、技能実習制度)です。
今年4月施行の特定技能でも介護職の受け入れが可能となったため、併せて4種類の在留資格から介護職の外国人労働者を受け入れる事ができることになります。

介護分野において、猛烈に人材確保に追われている日本ですが、新設される特定技能での介護分野に期待が集まっています。
そうみたいだね、でも単純労働で介護職を受け入れるとなると、課題もありそうだけど、、、
そうした懸念も踏まえて公表されている資料から特定技能での介護分野を見ていこう!

特定産業「介護分野」とは

日本人の雇用を確保することが極めて厳しい状況であるため、外国人により人材不足を確保するための分野のこと。

政府も色々と策を講じて人材確保に向けて施策しているけど、高齢化の波には追いついていないみたいだね。

特定産業分野における人材不足の状況

以下の特定産業分野における人材不足の状況からして、介護分野で特定技能外国人を受け入れることにより、本分野の存続・発展を図り日本経済・社会基盤の持続可能なものにしていくこと。

【特定産業分野における人材不足の状況】
(1)特定技能外国人受入れの趣旨・目的
介護分野において深刻化する人手不足に対応するため、専門性・技能を生かした業務に即戦力として従事する外国人を受け入れることで、本分野の存続・発展を図り、もって我が国の経済・社会基盤の持続可能性を維持する。

(2)生産性向上や国内人材確保のための取組等
介護人材確保に向けては、介護人材の処遇改善に加え、多様な人材の確保・育成、離職防止・定着促進・生産性向上、介護職の魅力向上等、総合的な取組を進めており、2014年から2016年までにかけて、対前年比で平均6万人程度増加している。

2014年から2016年までの2年間で、対前年比で比べると平均6万人が増加しているのは凄いね!
厚生労働省も積極的に介護業界の働き方改革を取り入れて、国内人材確保に取り組んでいるのが伺えます。

介護人材の処遇・待遇改善策として、これまでの合計で月額5万7,000円の給与改善がありました。そして、2019年10月からは、「新しい経済政策パッケージ」(2017年12月9日閣議決定)に基づいて、介護サービス事業所で勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠にして、公費1,000億円程度を見積もり投じています。

【処遇改善】
介護人材の処遇改善については、これまでの合計で月額5万7,000円の改善に加え、2019年10月からは、「新しい経済政策パッケージ」(2017年12月9日閣議決定)に基づき、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士に月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1,000億円程度を投じ、更なる処遇改善を行い、他産業と遜色のない賃金水準を目指している。

以前から介護業界は、給与が労働に対して釣り合っていなくて、人が続かない分野でもあるんだよね。

向こう5年で6万人の受入れを想定

都道府県別の介護分野においては、有効求人倍率がおそよ2倍以上の状況にあって、2020年度末までには約26万人、2025年度末までには約55万人を追加で確保する必要性があります。

向こう5年間では、30万人程度の人手不足が見込まれています。

そういった背景を踏まえ、特定技能1号の介護分野に至っては、向こう5年で6万人の受入れを見込んでいます。(2019年度は5000人を見込んでいる)

統計データではAIを駆使した施策「介護ロボット、ICT」の活用でも5年間で1%程度(2万人程度)の生産性しか見込めないと出ているから、AIをもってしても補えない状況なんだ。

求められる人材の基準

介護の特定技能1号の在留資格を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

介護の特定技能1号の在留資格

・技能水準では、「介護技能評価試験」に合格すること(又は同等以上の水準)が義務付けられています。

・日本語能力水準では、「日本語能力判定テスト(仮称)」又は「日本語能力試験(N4以上)」に加え、
「介護日本語評価試験」に合格すること(又は同等以上の水準)が義務付けられています。

そして、介護分野の第2号技能実習を修了した者であれば、特定技能の在留資格を取得することができる仕組みです。

特定技能1号の介護業務

特定技能1号が従事する業務

・身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)
・支援業務(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等)

訪問介護等の訪問系サービスにおける業務は対象としないことになっています。

技能実習での介護受入れが遅れた(条件が厳しかったため)、「試験のハードルを下げて多くの方に従事してもらう」「ハードルは上げて介護の質を保守していくべき」など、意見が様々。

実際に厚生労働省はこうした相反する意見に答えを見出せない状況でした。当面は、既に受け入れ実績があるEPA3国(ベトナム、インドネシア、フィリピン)からスタートして、徐々に受入れ国を拡大していく見通しです。

受け入れ可能な事業所

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、特定介護福祉施設、グループホーム、通所介護事業所などが対象となります。
デイサービス、訪問ヘルパーなどのサービスは除外しています。
また、事業所ごとに受け入れ出来る人数は、「日本人の常勤介護職員の総数まで」と上限を設けています。

介護技能評価試験の日程

介護技能評価試験の日程が公表されました。介護日本語・技能評価試験のサンプル問題も出ていますよ。
第1回介護技能評価試験日程:4月13日(土)~14日(日)
場所:フィリピン(マニラ)※国際交流基金日本語基礎テストも同様です。
介護日本語・技能評価試験の実施回数は、国外で年6回程度を想定してるよ。日本国内は検討中です。

※追記情報
以下の日程が発表されました。

第2回 5月25日(土)~27日(月) 定員265席程度
第3回 6月15日(土)~16日(日) 定員190席程度
第4回 6月22日(土)~24日(月) 定員290席程度

申込手続に関しては、決定次第ご案内があるとのことです。試験実施の場所は、前回と同じフィリピン(マニラ)です。

技能試験、日本語試験の問題内容とは!?サンプル問題集は!?

以下が介護技能評価試験サンプル問題集です。これは、活用するしかない!

介護技能評価試験

技能試験は現地語で全45問から出題され、試験時間は60分です。出題される問題内容は、写真などを表示して正しい介護手順かどうか!?を答える問題などが設定されています。

日本語試験は全15問から出題され、試験時間は30分です。出題される問題内容は、「更衣室」や「車いす」などの介護用語や、介護する場面に応じた正しい声掛けなどが問われます。

両試験とも出された問題選択肢から正答を選ぶ○×方式となります。コンピュータを使用する「CBT方式」と言われている方法で試験を実施しますよ。以下の画像がサンプルの例題問題です。
介護技能・日本語の評価試験サンプル問題
また、実施できる国としての条件として、日本語基礎テストの実施を確立した国から、順次介護分野の試験を行う予定です。

介護職の特定技能外国人の雇用形態

直接雇用のみ。
※派遣雇用は認められていません。

特定技能協議会への加入

受入れ企業(特定技能所属機関)は、初めて介護分野において「1号特定技能外国人」を受け入れた際は、1号特定技能外国人が入国後4ヶ月以内に厚生労働大臣が設置する特定技能外国人の受入れに関する協議会に加入する必要があります。
そして、加入後は協議会に必要な協力を行うことが義務付けられています。

「外国人介護人材受入環境整備事業」の創設

新しく出来た在留資格「特定技能」の創設等によって、今後増加が見込まれる外国人の介護人材が国内の介護現場において円滑に就労し定着できるように、「外国人介護人材受入環境整備事業」が創設されました。

以下の4つの取り組みを通じて、その受入れ環境の整備を推進します。

1.介護技能評価試験等実施事業
介護分野における特定技能1号外国人の送出しを行う外国において、介護の技能水準を評価するための試験等を実施

2.外国⼈介護⼈材受⼊⽀援事業
介護技能の向上のための研修等の実施に対する支援

地域の中核的な受⼊施設等において、介護技能向上のための集合研修等を実施します。

3.介護の⽇本語学習⽀援等事業
介護の日本語学習を自律的に行うための環境整備の推進に対する支援

介護の⽇本語学習を⽀援するため、WEBコンテンツの開発・運⽤等を実施します。

4.外国⼈介護⼈材相談⽀援事業
介護業務の悩み等に関する相談支援等を実施

日本で働く全ての外国人の介護人材が安心して介護現場で就労・定着できる環境を整備することが目的です。

外国人介護人材の配置基準上の取扱いについて

特定技能1号の外国人材の介護報酬上の取扱いに関する基本的な考え方として、以下の取り組みを実施します。

特定技能1号の外国人については、技能実習3年修了の人材と介護技能が同等であることから、就労と同時に配置基準に算定する。ただし、一定期間、他の日本人職員とチームでケアに当たる等、受け入れ施設における順応をサポートし、ケアの安全性を確保するための体制をとることを求めることとする。

介護分野の特定技能1号外国人について、一定期間の間は、他の日本人職員とチームでケアに当たる等、受け入れ施設における順応をサポートして、ケアの安全性を確保するための体制をとることが義務付けられています。

特定技能の介護職では、初日からでも夜勤ができる仕組み

特定技能ビザの保持者について、厚労省は介護分野の独自ルールを記載しています。
「介護分野における「特定技能ビザ」の保持者は、人員配置基準に就労と同時に算定することを可能とする」として、「入国前に受ける介護技能・日本語評価試験に合格しているのであれば必要なスキルを既に持っていると見なし、初日から、日本人職員と同等の扱いで構わないと記載しています。

技能実習制度では、受け入れ企業先で実習して半年後に初めて人員配置基準に算定されるので、今回の特定技能の介護分野はかなり踏み込んだ内容となっています。

厚生労働省の上記資料でも記載している通り、「勤務初日から人員配置算定しても構わないが、一定期間(半年を目処)は他の日本人職員とチームでケアに当たり、サポートを行うこと」が条件となります。

一人夜勤についても基本的には、仕事に慣れるまでを最低限のラインとしており、「仕事に順応し慣れている事が前提」ですが、就労してから半年以内の一人夜勤も禁止はしない方向です。

技能実習「介護」・EPA・在留資格介護の介護報酬上の考え方について

技能実習「介護」・EPA・在留資格介護の介護報酬上の考え方について

注1)EPA、技能実習のいずれについても、日本語能力試験N2を取得している者は、就労開始から算定される。

注2)訪日前研修については、インドネシア人、フィリピン人候補生については6ヶ月、ベトナム人候補生については12ヶ月の研修期間が設けられている。なお、技能実習については、訪日前講習の義務はない。

注3)在留資格「介護」については、在留資格「留学」で訪日した上で養成校を卒業し、介護福祉士の資格を取得(※一部特例あり)すると在留資格「介護」となる。なお、在留資格「留学」では、資格外活動の労働について週28時間の上限があることに留意。

介護職での特定技能について 【まとめ】

介護職は特定技能の業種14種類の中でも1番受け入れる人数が多い。
技能実習の介護分野の受け入れ(2017年)が遅れたため、技能実習制度から特定技能の移行はないものとなるため、早急な処遇を施す必要がある。

技能実習制度で介護分野の受け入れが遅れたため(条件が厳しかったため)、特定技能の介護職を緩和し単純労働でも受け入れが出来るようになった経緯があるのではないかと考察します。
特定技能では、まず介護分野の人材確保に注力することですね。